ダクト透過損失を計算するセットアップについて、ご案内します。
Simcenter 3Dにおいて、ダクト透過損失を計算するセットアップについてご案内します。
この記事では、マフラー模した単純な形状を作成して、その透過損失を求めます。
この単純形状については、周波数が十分低く、平面波で軸線方向に音が伝播すると仮定できるとき、次の式で透過損失を求めることができます。(ただし、mは導入管と胴体部の断面積比、lは胴体部分の管の長さ、kは波数)
この理論解とSimcenter 3Dを用いて計算した解を比べたグラフが次の図です。
まず、一次要素(TET4)を用いて作成した場合、理論値から大きくずれることが確認できます。これは、透過損失がエネルギーベースの評価指標であるためです。これを正確に解くためには、音圧だけではなく、粒子速度についても精度よく解く必要があります。
そのために、音響メッシュを二次要素(TET10)を用いて作成すると、粒子速度についても精度よく解くことができ、理論値とほぼ同じ結果が得られます。また、FEMAOの最小次数を2に設定して計算をすると、2次以上形状関数を用いて計算するため、さらに理論値に近い解析の結果が得られます(TET10 order 2)。
以上の理由から、動画では音響メッシュを二次要素を用いて作成し、FEMAOの最小次数を2に設定しています。
また、管の入射口では、ダクトモードを用いて音源を入力し、終端口では無反射終端条件を定義しています。
こうすることで、それぞれにおける反射の影響をなくすことができ、純粋にマフラーの胴体部分の形状のみに依拠する値として透過損失が求められることができるため、胴体部分の設計指標として使うことができます。
資料作成時使用バージョン: Simcenter 3D 2406